2010年10月09日
0912D T15DBXロウワーレシーバ(1)
(Tactical Innovations T15DBXロウワーレシーバ)
このロウワーレシーバは弊社製CNCメタルフレーム製品の2機種目に該当します。
前作のLarue Stealthフレームセットで頂いた数々のフィードバックが詰め込まれており、製品としての完成度がかなり向上しております。
実物モデルはTactical Innovations製T15BDX (Billet DeluXe) という製品になります。
知名度が高い前作のLarue Stealthレシーバと違って、今回はちょっとマイナーな機種選択になりました。
しかしながら、こちらも「知る人ぞ知る逸品」です!
開発のスタートポイントはあの有名なStickman氏の画像からでした。
多分皆様もどこかでご覧になったことはあるかと思いますが、その筋ではとても有名な「KAC+Magpul」の写真です。
(Stickman氏の写真)
担当者もそれを見た瞬間、「これほしい!」モードに一直線で突入して行きました。
詳しく見ていきますと、このカスタムカービンはT15DBXロウワー+KACアッパー+KACのURXレール、そしてMAGPULの小物で固められてます。
ガスブロで同じセットアップを再現しようとした場合、一番ネックになるのは地味なT15DBXロウワーの部分です。
このようなマニアックアイテムはどこのメーカもかつて作られた事はありませんので、自分達がやらねばと思いました。
本製品の材質自体は6061アルミの削り出しでLarue Stealthレシーバと変わりませんが、表面が通常のアルマイト処理からハードアノダイズドに強化されました。
外観上の色合いはより黒く、そして手触りがよりスムーズになりました。
ハードアノダイズド処理に関する詳細はここでは省きますが、Surefireライトと同等の表面処理と言えば分かりやすいと思います(勿論色は違いますが)。
現状ウェスタンアームズ系のM4シリーズ向けCNCメタルレシーバで、ハードアノダイズド処理を採用しているのは弊社のみです。
KACやColtなどメジャー所のパーツもそれぞれ素晴らしいですが、エンドユーザがマイナー物のパーツでも一点一点ご自分でお選び頂き、本当に「自分のための一丁」を組み上げられる、という楽しさもとても大事だと思います。
今まで他社様があまり注視して来なかったこのようなニッチな需要に、我々は同じマニアとしてお応えしたい、という強い思いがあります。
このようなモデルは大量に売れる物ではなく、基本ワンロット限定の少量生産になります。
再生産もおそらくありませんので、本当に「ARを愛してやまない方」に手にして頂きたいと思います。
ガスブロ用メタルフレームで実現した新機能としては、アッパーとロウワー間のテンションを調節可能にしました。
これはGUN誌2010年8月号のAR特集で紹介されております、Stiller社のロウワーフレームでも実装されているあの機能です。
原理はロウワーレシーバのグリップベースからねじ込むテンションスクリューの高さを調節することで、アッパー・ロウワー間の「遊び」を制御することです。
(銀色のネジ頭部分がテンション調整スクリューのトップです)
(グリップベースから六角レンチを差し込んで調整します)
もっとも、弊社やPrime様などで作られたアッパー・ロウワーレシーバ同士であれば、最初から精密に加工されておりますので、この機能のお世話になることはおそらくありません。
サイズが若干小さめの他社製アッパーと組み合わせたり、またはレシーバが磨り減るほど分解・結合を繰り返した場合において、初めて効いて来る機能です。
テイクダウンピンを押し込んだ状態(アッパーをロックした状態)で、スクリューはねじ込むほど(テイクダウンピンとの相互作用で)アッパーを押さえつける力が強くなりますので、ガタを無くせます。
ちなみに、あまり無理にねじ込みますと、素材がやわらかいアッパーでは表面を傷む恐れがありますので、調整時には無理なさらないようにご注意願います!
実銃の世界では、シリアスなマッチシュータにとってレシーバをガッチリ固定させることはとても大事ですが、現場のオペレータ等にとっては、むしろ余裕のあるセットアップを好む傾向が強いようです。
このロウワーを使えば、「ガッチリした一体感」を勿論味わえますし、使い込まれた実銃の雰囲気を再現するため、多少のガタを残して敢えてゆるめにセットするといった楽しみ方もできます。
実物同様の「選択できる楽しみ」を是非皆様にも味わって頂きたいと思います。
本製品は9月中旬から販売されておりますが、すでにご購入頂いたお客様からのフィードバックを心待ちしております。
今後よりよい製品を作り上げていくために、皆様のご意見・ご感想を是非お聞かせ願います!
2010年10月08日
1004D Wilson Combatトリガーユニット(3)
紹介の一回目でも書かせて頂きましたが、現時点でこちらの製品はWA様純正の樹脂製フレーム、Prime様及びG&P様のメタルフレームとの互換性が確認されております。
今回は弊社製のフレームを使って、組み込みの手順を説明させて頂きます。
本製品はCNC加工により高精度を実現しておりますので、組み込みに当たってすり合わせなどを行う必要は特にありません。
ハンマートップにあるローラーなどを手で回してみて、動きが渋く感じる場合に少しシリコンオイルを吹き付けてみてください。
他の回転軸部分も必要があれば少しシリコンオイルを吹き付けておきます。
製品としてトリガープル(トリガーの重さ)は製造時に純正トリガーの約7割としてプリセットされており、ユーザサイドで調整できませんが、トリガーストロークは多少調整可能です。
下記写真のように六角レンチを使ってフレーム側にある2個のイモネジを調整します。
(トリガーストローク調整)
締め込むほどストロークが短くなり、トリガーの切れと戻りが素早くなります。
(両方のネジをできるだけ同レベルに揃えられるようご注意ください!)
製品の特性上、一般的に下記写真のようにギリギリまで締め込むパターンが多いようですが、トリガーフィーリングに関しては個人の好みがとても重要になりますので、ご自分に合うセッティングが見つかるよう設定を変えてみてください。
トリガーユニットをフレームに組み込んだ状態でもストローク調整は可能ですが、両方のネジの締め込み具合を揃えることが困難なため、ユニットをフレームから取り出してから調整することをお勧めいたします。
(ストローク最短位置)
フレームへの装着はロウワーフレームの上部から差し込むだけで結構です。
(ロウワーフレームへの装着)
ハンマーとトリガーピンホールの位置を確認しながら、ステンレス製の固定ピン2本を差し込みます。
(ピンの向きにご注意ください!)
(固定ピンの挿入)
ピン挿入後、最後まで押し込めば「カチッ」と止まる感触がありますので、これで組み込み完了です。
(組み込み完了、ハンマーコック状態)
(ハンマーダウン状態)
ここまでご覧の通り、組み込みは非常に簡単で、手慣れた方なら1分も掛からないと思います。
すでに組みあがったAR系ガスブローバックライフルに組み込む場合には、ファイアリングピンブロック側から分解されることをお勧めいたします。
そうすれば、フルオートシアーから分解するより簡単にハンマーとトリガーを交換できます。
本製品についてのご意見・ご感想などありましたら、是非私共にお寄せください。
皆様からのフィードバックを吸収しつつ、今後よりよい製品を作り出して行きたいと思っております。
2010年10月07日
FAQその1 製品表面に付着している油分について
(スチール製ガスブロックをご購入頂いたお客様より)
A:
弊社のスチール製品の最終仕上げとして、油に漬込むという作業工程があります。
リン酸塩処理後に表面に残っているわずかな「空気が通る穴」を油で封じ込むためです。
油から引き上げた後は、そのままビニール袋などでパッキングして出荷します。
油を残したままパッキングする理由は、工場出荷からエンドユーザの手に渡る間も利用して、表面の油分を少しでも多く浸み込ませるためです。
こうすることでスチール表面の質感がより向上され、耐久性(錆耐性)がさらに増します。
お手数ですが、ご購入頂いたお客様の方で開封後に残っている油をキレイに拭き取れば、実物さながらに仕上がった表面をご覧になれます。
2010年10月05日
IRON Airsoftについて(2)
今日はIRON Airsoftについての紹介の続きを書かせて頂きます。
<組織構成>
IRON Airsoftの製品企画は日中共同で推進しますが、製造は基本香港側で行われます。
企画については担当者からの発案もあれば、提携ショップ様やお客様から持ち込まれたアイディアにも柔軟に対応しております。
弊社製品のCNC加工の部分はほぼ完全な内製化が実現されておりますので、クオリティコントロールが行き届いております。
表面処理など、一部の工程は提携工場を使う場合もありますが、その際全てIRON Airsoftから派遣されたスタッフ立会いの元で工程が管理されます。
新参者ゆえに、弊社の初期の製品では一部品質のバラツキを上手くコントロールできませんでした。そして、日本向けの出荷基準に満たさない個体が想定外のルートで日本国内に流入され、お客様に不要な混乱を招いたことは深く反省しております。
その反省に基づき、今後日本国内向けの販売は基本的に全て総代理を経由して、小売店様に提供させて頂く形になりますので、万が一のトラブル対応やご購入相談などの一次対応も基本小売店様で受けられることになります。
どうしてもお困りな時には直接のご相談も受けつけますので、どうぞお気軽にご連絡ください。
(一部香港から並行輸入された弊社製品につきましても、できる限り御問い合わせ対応はさせて頂きます。)
我々は日本市場をプライムマーケットとして捉え、開発・製造・サポートのあらゆる面において最優先的に考慮します。
現時点において、日本国内で正式に弊社商品を全面的にお取扱い頂いているのはサンコー様のみになりますが、より多くのお客様が実際製品をお手にとってお選び頂けるようにするため、取扱希望の小売店様は常時募集いたしております。
弊社製品にご興味をお持ちの小売店様はどうぞお気軽に私共にご連絡ください。
連絡先:ironairsoft@gmail.com
エンドユーザ様向けには、今後日本語資料の充実化を図って行く一方、さらに一歩踏み込んだサポートも検討しております。
お客様から多く頂いたご質問や御問い合わせの内容も、随時FAQの形で公開させて頂きますので、お困りの時にはまずそちらをご参照ください。
<IRON Airsoftの強み>
我々自身が思うIRON Airsoftの強みを簡単にまとめますと、以下の3点に集約できると思います。
・自社で設計から製造まで完結できること
>品質管理や納期管理などの面でメリットがあり、ほぼ全工程を社内で自己完結できることは大きな強みです。
・地の利を生かした柔軟な対応
>製造担当は生産拠点を厳密に管理し、日本向けの販売やサポートについては日本国内で完結できる体制を構築しております。
・担当者全員がリアルプレーヤーであること
>物作りの際、ただ単に「売れる商品」を作るのではなく、常にユーザ視点に立って「エンドユーザが納得する物」を目指しています。
今後もスピーディでダイナミックな新製品開発を心掛け、個性的でマニアックなアイテムをどんどんリリースしていきます。
ある意味マンネリ化したトイガンマーケットに一石を投じ、エンドユーザに「悩みながら選ぶ楽しみ」をご提供したいと思います。
本日の最後に、加工中の新製品の写真を数枚公開いたします。
2010年10月04日
1004D Wilson Combatトリガーユニット(2)
そもそも、この製品を開発しようとしたきっかけは、組み立て下手な担当者の個人的な要望からでした。
毎回フレーム内のパーツ組み換えで難儀していたので、自然と「ユニット式のトリガーがほしい」という発想に行き着きました。
調べてみると、世の中にはすでに色々な種類のトリガーユニットが存在しており、組み込み易さだけでなく、銃本体としての性能アップにも繋がるとのことで「やるしかない」ということになりました。
その後のモデル選定において、企画と製造担当が協議した結果Wilson Combat製品をモデルアップすることに決定しました。
(こちらが実物写真です)
実物はWilson CombatのTTU(Tactical Trigger Unit)という型式で、シングルステージ・セミオートオンリーのトリガーですが、ガスブロ用ということでフルオート対応にアレンジしました。
ちなみに、企画担当はシビリアンモデル大好きなもので、今後是非セミオートのマッチトリガーなども出させて頂きたい所ですが、今回はひとまずこれにてご勘弁願います。
このモデルはある意味試金石で、これが企画倒れになってしまった場合には、もう次のモデルは出せません、、、
実物と比較して、外観上一番大きな違いは刻印の色ですが、これは素材に起因するものです。
Wilson Combat製はおそらくユニットのフレームに7000番台のアルミを使用しておりますが、弊社の製品では6061を使用しました。
7000番台で作ろうと思えば、我々でも当然作れる訳ですが、コストと性能の兼ね合いで6061に落ち着きました。
7000番台のアルミは非常に強度が高いので、レーザー刻印の際かなり高出力で比較的長時間照射する必要がありますので、文字が黒焦げて見えます。
逆に6000番台では、通常のレーザー刻印でも十分鮮明に刻印できますので、本製品のような仕上がりになります。
フレームに入れてしまえば見えなくなってしまう部分ですが、決してそこで手を抜いた訳ではありません。
ちなみに、現在市販されているCNC加工のエアソフト向けメタルフレームはいずれも6061か、それ以下の素材で加工されております。
ガスブロのライフルでは、実弾を発射する必要がなく、高温高圧で動作させるわけではありませんので、7000番台のアルミを使うと少々オーバースペックになります。
CNC加工前提で7000番台のアルミを採用した場合のコストアップの影響が非常に大きいので、エアソフトガン用には6061が妥当と判断しました。
より多くのお客様によい製品を提供していくために、「リーズナブルなプライス」という弊社のポリシーは是非守って行きたいと思います。
このトリガーユニットとすでに市販されている多くのトリガー/ハンマー/シア単体のセットと比較しますと、性能もさることながら、十分価格的なメリットもあると確信しております。
製品の企画自体は2010年の4月に始まり、4月末にCAD図面、そして5月下旬に1次試作品が出来上がりました。
(CAD図面その1)
(CAD図面その2)
(1次試作品)
それからはひたすら「試用>問題点洗出し>再試作>再試用」の繰り返しで、7月末にやっと量産にこぎつけました(と言っても、かなり少量のロットですが)。
8月のブラックホールが初お披露目の予定でしたが、なんとその前日にさらに一つ問題になりうるポイントを発見しました。
(ここで、改めて検証にご協力頂いたサンコー様に深く感謝いたします!)
実用上問題になるかどうか微妙な所でしたが、妥協はしたくありませんし、小売店様やエンドユーザ様に手間をかけさせたくもありませんので、急遽発売にストップをかけました。
出荷済みの分を全て一旦香港に引き上げて改修することとなり、幸い結果的に1箇所のパーツ交換だけで問題を回避できました。
予期せぬトラブルを乗り越えながら、やっとリリースにこぎつけた商品ですので、胸を張ってお勧めしたいと思います。
本製品は現状日本向けにのみ出荷しておりますが、しばらく経つと他の所から類似品が出る可能性は否定できません。
(ちょっと笑えない話ですが、現に海外で「日本の小売価格でいいですから一個だけ売ってほしい」という業界関係の方の動きも見られたりします。)
仮にそうなった場合、オリジナルメーカとしては大変残念に思いますが、しかし言い換えれば、それはこの製品ジャンルがマーケットに認められた事とも受け取られますので、前向きに次の製品に取り掛かりたいと思います。
オリジナルメーカでも、完成にこぎつけるまでこれだけの苦労を経験しております。
詳細はここでは書けませんが、製品として仕上げるにはパーツのすり合わせなど色々なノウハウの積み重ねが必要になりますので、ただ単に形状を真似されても同等の製品には仕上がりません。
それだけは自信を持って断言できます!